飛騨牛畜舎の休憩所ができるまで

墨付け

リフォームの次は小さな休憩所の新築物件。

竹で作ったお手製の墨差しで大工さんは材に線を引いてゆきます。

 

 

少々短い材があったので金輪継ぎで繋いどきました。

刻み

飛騨の大工
手刻み
飛騨の大工
手刻み

プレカットが主流の現在の建築業界なのになぜ手で刻むのか。

ただ単に、木の持つ性能を最大限に引き出すには

一つ一つの材を見極め最良の加工を施す必用があるから。

建て前

二間四面の小さな建物ですが、通し貫折置組みの伝統構法で。

隣接の建物の側は外壁をあとから施工できないため、真壁の杉板落とし込みで

建前時に壁の構造体を組み、起こしました。

板倉の感じです。

手刻み
伝統構法

通し貫で組む建物は、固すぎず柔らかすぎず、地震の揺れに対して

柳がしなうように力をいなします。

ちなみにいつものごとく、垂木を留める6寸釘と野地板を留める1.5寸釘

以外は金物を使わず、木組みの建物です。

折置き組み

手刻み
伝統構法

先日の建前の追記。

 

通し柱(土台から軒桁、棟木までの長い柱)に差されている太い材は

胴差しと呼びます。

 

よくみると段差がつけてあります。折置き組みという組み方です。

一般的には高さを揃えますが理由があります。

 

柱の断面欠損(ホゾ穴等による柱の傷め具合)を最小限に抑えるためです。

高さを揃えた場合の柱と、高さを違えた場合の柱の差し口を見比べると

よくわかります。

 

そのための模型でも作ればよいのですが、なかなか出来ません。

 

手刻み
伝統構法

折置き組みの通し柱の差し口はこんな風です。

通気工法

手刻み
通気工法

外壁は杉板の大壁。

塗装はノンロット(撥水性にすぐれた外部塗料)のオリーブ色。

 

タイベック(透湿防水シート、ゴアテックスの合羽みたいなもんです)

を貼った上に厚み15mmの竪地を打ち、杉板を貼ります。

 

タイベックと杉板の間の15mm通気層を設けることで、壁内の湿気が

タイベックを通り通気層で放出されます。

 

壁に対する直射の熱も、通気層を通り上昇気流で排出されます。

 

 

 

屋根の通気

垂木と呼ばれる材は写真で一番細い(60mm×60mm)もの。

その間にパンチングメタルをあて、虫や鳥の侵入を防ぎます。

 

垂木の下端に透湿シートをあて、空気の通り道を確保します。

 

片流れの屋根なので、直射による熱は上昇気流で軒から棟へと排出されます。

 

透湿シートの下には断熱材を仕込みます。

それはまた後日アップします。

 

屋根の通気断熱

先日の続きです。

 

垂木下端に透湿シートをあて、空気の通り道を確保し断熱材を仕込みます。

 

今回はロックウールの90mm。値段のわりに熱抵抗値が高いということで

採用。その下に厚手のシートを貼り、断熱工事完了。

 

高気密高断熱のスペックからみると少々劣りますが、壁内結露を引き起こす原因となった過去のいい加減な断熱材の施工例と比べると、かなり良い仕事です

 

壁内結露の原因となる、湿気を含んだ冷気が壁内に侵入する隙間を無くす

ことがポイントです。

 

 

階段作製

山で遊んでばっかいられません、仕事仕事!

最後に残っていた階段を納めてこの現場は竣工をむかえます。

当初、二階は物置なので梯子の予定でしたが

やはり階段でということになりスペック変更、桧で。

 

階段の作り方にはいろいろありまして、今回は急な勾配のため古民家などでみられるものと、同じ工法で。

 

割り楔によるストリップ階段。

釘もビスもボンドも使用しておりません。

 

竣工

2間四面の小さな休憩所が完成しました。

すっきりとした建物です、無垢の木の匂いがやさしい空間です。

 

お施主さんにも喜んでいただけたようで一安心です。