建前を終えてからの大工な日々。
母屋(垂木を受ける屋根を支える構造材)の一部を除いて総桧造り、
土台から柱、桁、胴差、梁のすべてが桧。
構造が全て現しとなるので高さや空間のバランスに気を遣いました。
時折仕事の手を止めては梁組を見上げ、手前味噌乍らこんな家に暮らしたいなどと思ってみたりして。
玄関の式台は敢えて框を設けず桧の厚板で木口あらわし。
落ち屋根からの壁への立ち上げの通気の確保。
石場建てのため足元土台の下は虫や獣が入らないように金網を。
床下の断熱材のフェノバボードを仕込む前には透湿シートのタイベック。
伝統構法だの木組みだのと云っていると、古臭い大工のように受け止められそうですが、現代のくらしに合わせる努力は惜しみません
自分が最良であると思う伝統構法の建物で快適に暮らしていただくために、新しいよいものは健康に害を及ぼさない範囲なら
積極的にとりいれます。
とか云いながら朝の散歩の道中、入ってました。
この日の午後猪熊捕りの翁と猪成敗のため仕事の手を止めるハメに・・・。
上棟吉日です。
石場建ての建物の基礎は主要な柱が立つ場所に礎石を据える総ベースの基礎となります、
通常の建物のように布基礎は無く、基礎への躯体のボルトによる緊結はありません。
あくまで礎石の上に立つだけ、地震による揺れは建物が動くことで免震されます。
貫(柱にささる水平方向の薄い材)は通し貫として建前時に仕込みます、
同じ位置に貫の継ぎ手がこないよう千鳥に配置します。
足元土台の継ぎ手はすべて通し柱で継ぐため、車知継ぎや長ホゾ等、様々な細工を駆使します。
胴差も足元土台と同じく通し柱で継ぐため、車知、長ホゾ、となり組む腕が問われます。
そして建前ほぼ終了後の屋根を伏せる前の構造体のいでたち。
3Dソフトのgoogle sketch up たいしたもんです。
力強い仲間達、酷暑にもかかわらずこの複雑な建物を見事建てあげてくれました。
いつもお世話になる中川さん、頼れる兄貴の森本さん、オークヴィレッジから兄弟と呼んでいる明石くん、同じくヴィレッジの
若くしてリーダー格の凄腕の今福くん、石川県から石場建てを目指すため是非参加したいと駆けつけてくれた樫田くん。
そしてなにより伝統構法を理解し、任せてくれたお施主様。一緒に汗を流し建前を手伝ってくださいました。
皆のお陰で無事建てあげることができました、本当にご苦労様でした ありがとう!
営業地域
高山市 丹生川町 飛騨全域