飛騨の匠

今雪害で軒を傷めた現場がある飛騨市神岡町山之村地区。

年々人口が減少しつつある限界集落で私の母の故郷です。

 

幼い頃から母の実家に訪れ、この地域の方々に仲良くして頂いてます。

写真の建物は現在空き家で築140年位の古民家、妻側のよろい貼りの板壁の部分は

14年前だったか私が補修したものです。

豪雪地帯だけあって、屋根を支える小屋組はご覧の通り。

 

棟方向に架けはなされるうし梁は私が、今まで見てきた古建築のなかでも最大。

そのうし梁に登り梁が手足のように兜蟻掛けという仕口でがっしりと組み合わさっています。

 

先日アップした神長官守矢資料館のような意匠を狙ったものとは違った、純粋な強い有機を感じます。

 

ただこの地域で電気や重機がない時代にここまでの仕事を成す、工人達の計り知れない労力

技術、そして甲斐性。

 

これだけの巨大な材木を山で倒すには、斧や大鋸。それらを使いこなすには目立ての技術も当然

経験も。

 

倒したあとは山からどうやって現場まで・・・

 

大工はこの野生の曲がった巨木に正確な墨を打ち、そして刻み。

 

さて建前、レッカーはありません。どうやってこのうし梁を組あげたのでしょう。

 

有名な1300年前の塔も然り。

 

思いを馳せれば頭が下がるばかりなり。