現在、在来軸組み工法の主流となっているプレカットで使用される材料の殆どは、KD材と呼ばれる短時間で人口強制乾燥された木材です。KD材の利点は、120℃以上の高温で乾燥させる為、表面に割れがおきず、経年による寸法変化やあばれが少ないということです。
一方、天然乾燥材は乾燥機を使用せず、雨の当たらぬ場所で木材を桟積みし時間をかけて自然に乾燥させたものです。自然乾燥の材は表
面と内部で水分の蒸発量が違い、収縮率が違うため表面に割れがおきます。
一見、表面に割れがある構造材はクレームのもとになったりしますが、木としては自然な状態で、何百年と風雨、風雪、直射日光に耐えてきた古建築の屋根裏の構造材も、当然割れがはいってます。
一見、表面に割れが見当たらないKD材ですが内部には割れが生じています。天然乾燥材は表面割れです。この二つの材の割れの違いについて筑波大学の安藤那広教授の言葉を引用させていただきます。
「人工乾燥の木材は細胞が老化した老人の肌のようなもの。パサパサしていて艶もないし張りもない。呼吸もしない。
それに対して自然乾燥の木材は若者の肌のようなもの。収縮や膨張などの悪さもするが艶やかで張りもあるし呼吸する。それに、これから壮年期にかけて更に強くなる。だから何百年もの間家屋を支えることができた。
それに対してKD材は、強制乾燥をかけた直後から劣化が始まる。しかしそれでも、三十年程度は問題なく家屋の建材として使用に耐えることはできる。
今の日本の住宅は大抵三十年くらいで寿命が来るから、それだけ持てばよいというのならKD材でも問題ない。
ただし、かつての日本の民家のように、建て替えの際に木材を再利用することは絶対にできない。劣化した抜け殻のような物だから」
我々、現場で実際にそれらを触る大工には、すんなり納得できる言葉です。KD材で継ぎ手や仕口、ほぞ等を加工しても、心材が高温乾燥でボソボソになっており、大変頼りないものになってしまいます。
寸法精度や工場生産においては重宝されるかもしれませんが、現場(木)を知る大工としては
KD材、天然乾燥材どちらを推すかは、いわずと知れたことです。
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高山市 丹生川町 飛騨全域