建築金物不使用の木組みの家です。
昨年3月から設計開始した21坪の平屋 石場建て伝統構法の家
お陰さまで完成しました。
外壁は腰下 杉の赤身厚み4.5分(13.6mm)板よろい貼り
腰上は漆喰仕上げ 玄関戸と袖壁は米杉。
居間とキッチン
建具屋とストーブ屋
石場建て伝統構法の家 建具担当の田近建具店 薪ストーブ担当のhataya
田近さんにおかれましては10年来のお付き合いの建具屋さんです。同い年ということもあって(稀有な丙午)
いじめ いじめられながらの関係が続いてます
「田近さんの感性でこの建物の空間に合い施主さんが最も喜ばれる建具を造ってやってくれ」
いつもそうお願いするので、彼は我が社の仕事は やりがいがあるか困るかのどっちかです。
ハウスメーカーや図面のある現場なら何も悩むことは無い 言われた通りの物を造ればよいのですが
敢えて林建築は 各職人達に責任を預けます。
建具ひとつ納めるにも細心の注意を払う田近建具店代表 田近文一。
建具の意匠ひとつで部屋の印象が変わります 建具が主張しすぎず空間を活かす。
まるで気の利いた奥さんのように。
年も押しせまって参りました、今回の石場建ての左官工事をお願いしている門前左官さんです。
写真はまだ建前がすんで間もない頃、玄関ポーチを仕上げているところ。
敢えて完成後は載せないでおきましょう。質素だけれどとても上品な仕上がりです。
石場建ての家、実はまだかかってます。
人手不足のため応援の友人達も頼めず 一人ぼっちで奮闘中です。
見出しの写真は棟札を小屋裏に納めた所 。
わかり辛いですが 棟札を取り付けた場所から下を俯瞰した写真。
ここにくるまでの工程を細かにアップしてなかったので、まとめてザッといきます。
外壁。
頭を悩ます外壁の仕上げ。
大工仲間や設計士の方とも、何が外壁の材料として一番良いか話題にあがります。
風雨に晒され、紫外線に晒され、人目に晒され、都市計画区域に於いては防火、
そしてメンテナンスも考慮して長持ちし見てくれの良い仕上げ材とは。
とりあえず腰下は杉の赤身でよろい貼り、腰上は角浪トタンの予定でしたがお施主様の意向で左官仕上げに変更。
根気にバラ板打ちの後、左官さん防水紙あててます。
建前を終えてからの大工な日々。
母屋(垂木を受ける屋根を支える構造材)の一部を除いて総桧造り、
土台から柱、桁、胴差、梁のすべてが桧。
構造が全て現しとなるので高さや空間のバランスに気を遣いました。
時折仕事の手を止めては梁組を見上げ、手前味噌乍らこんな家に暮らしたいなどと思ってみたりして。
石場建て伝統構法の刻み。
一人で墨付け刻みをしていると途方に暮れます。工期に余裕があるとしても、減ってゆかない材の前で黄昏れてしまいそうです。
仲良くしている友人の中川さんに応援をお願いしました。
この地域も梅雨入りしましたが、今日は高山でも31度にもなる晴天。
地鎮祭日和です。
神饌は米、水、塩、酒、海のもの三種、山のもの三種。海の魚の鯛に山の魚の岩魚までお供えしての地祭り。
手刻み。
見出しの仕口(T字に交わる細工をしぐちといいます)は横ほぞハナ栓打ち。仕込み塩梅を確かめるため、
仮組みをします。
石場建て伝統構法の場合、ボルトで締めてゆく簡便なプレカット工法と違い、木組みで固めてゆくため
組み上げる順番を考慮しつつ、様々な仕口や継手を仕込みます。
写真では分かりませんがホゾの男木には微妙にテーパがつけてあります。
材が組まれる箇所すべてに細心の細工を施します。
久々の新築物件。
昨今の建築業界における新築物件は殆どがハウスメーカー主導、法律も大手を擁護する方向。
地方の工務店も横文字やカタカナに名前を変えて施主獲得にしのぎを削ってます。
以前は黙っていても仕事が入ってきた個人大工は時代の変化についていけず、手間受けや常雇で日々をしのぎ
気付けば凄腕の大工ですら作業員扱い。
自分も志を持って一人大工として必死で日々を乗り切ってますが、大工とは到底いえないような仕事もさせていただいたりして
今日在ります。
HPでも書いている通り、現代の木造建築の90%以上は工場生産のプレカット。
構造材には木としては死んでしまっているKD材(強制乾燥材)と金物とベニヤ、新建材で造られる住宅。
今回の物件は都市計画区域外で100㎡以下の建物、ならばやるしかありません石場建て伝統構法。
当然金物不要の木組みの手刻み。
図板を起こして材の一本一本に墨をして継ぎ手や仕口、全てに全身全霊込めて刻みます。
営業地域
高山市 丹生川町 飛騨全域